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オタク気質な19卒エンジニアが気づいた、ゆずれない軸と柔軟性

コロナショックや過去に類をみない円安、物価高騰など、誰もが予想しない事態が数年に一度のペースで起こっている昨今。最近では大手IT企業の人員削減のニュースも相次ぎ、改めてどの企業も「絶対に安泰」ということはない...と感じている方も多いと思います。今回お話を伺うのは、入社1年目にコロナ禍突入を経験した2019年卒のエンジニア・稲村奈月さんです。入社当時を振り返って思うこと、ハード系エンジニアの働き方や、若手社員としてこれからの企業人に必要だと思うことを率直に聞いてみました。

稲村さん

稲村奈月さん

コニカミノルタのIJコンポーネント事業部に所属するエンジニア。2019年度入社で、現在新卒4年目。産業用インクジェットプリンターのヘッド部分における電装系の開発を行う。根っからのインドア派で、趣味はアニメ鑑賞、漫画、オンラインゲーム。楽器演奏も好きで、現在は学生時代の友人と組んだバンドでキーボードを担当している。

紙だけじゃない。ペーパーレスの時代における印刷のおもしろさ

──まず最初に、現在どんなお仕事をされているか、かんたんに自己紹介をお願いします。

コニカミノルタのIJコンポーネント事業部に所属しています。IJはインクジェットの略称で、産業用インクジェットプリンターにおいて、実際にインクを吐出するヘッド部分の電装系の開発を行っています。色々な電子機器に入っている、緑色の基板がありますよね。そこに載っている電子部品を乗せ替えたり、回路を試したりして、電気の信号波形で問題がないかを評価しています。

エレキ系ではおなじみのプリント基板で何やら評価しているイメージ

──IJコンポーネントは一般の方からすると少しニッチに聞こえるかなとも思うのですが、ここが面白い!というところはありますか。

私も最初は、インクジェットヘッドって何だろう?と思っていたんです。紙以外のものにも印刷するんですよ。具体的には、布に印刷をする「捺染(なっせん)」という技術もそうですし、電装の基板の緑色の部分も「レジスト」という緑色のインクをインクジェットヘッドで塗っている場合があると知って、印刷=紙という印象がガラッと変わりました。

ペーパーレスの時代とも言われていることもあり、「紙の印刷ってこの先どうなんだろう」と思っていたのですが、ペットボトルのラベルや大型の広告の印刷、タイル調に見えるようなテキスタイル印刷などもインクジェットで印刷できるので、かなり幅広い技術だと感じています。

2年目で新製品の主担当に抜擢。教えてもらう立場から「社内で一番詳しい人」へ

──稲村さんは新入社員の頃、WebCMにも出演されているんですよね。当時を振り返ってみていかがですか。

稲村さんが出演した新入社員成長動画「やりたい事好きなだけ」challenge vol2 / WebCM

この動画を撮影したのが入社1年目の1月頃なので、約3年前ですね。私はソフトとハードの研修を両方受けさせてもらったので、まだ実務に入って数ヶ月の頃でした。色々な製品に電気が使われているのを学び始めた頃なので、今だったらまた全然違う見方ができるだろうなと思います。

──動画に出演した頃から、考えが変わったことはありますか。

大きく変わりましたね。この頃はまだ「教えてもらっている」という姿勢で業務に取り組んでいたように思います。実務を経験する中で、徐々に主体的に業務を進めていく形に変わっていきました。

2年目の途中から新しい製品の立ち上げに関わり、主担当を任せてもらったんです。それまで既に量産化している製品を担当していたときは、製品について別の部署から質問があっても分かる範囲で回答して、あとは設計担当者に確認することが多かったのですが、新機種の設計をして開発を進めていく中で「自分が一番よく知っている」というケースが増えてきました。そうなると、自分がデータや測定結果を把握しないといけないという意識が芽生えてきて...。今も部内で提案をもらうことはありますが、「追加でこういった測定が必要ではないか」「この測定は急ぎなので、早めにやってください」など、どう進めるのが製品にとってよいか、スケジュールを含め自分で考えて進めるようになりました。

──若手のエンジニアが主担当になることは、よくあるのでしょうか。プレッシャーは感じませんでしたか?

そうですね。先輩方のサポートはありつつ、重要な役割を任せてもらえる機会は多いと思います。
最初は「開発の立ち上げから関わったこともないのに、主担当で大丈夫かな」とも思ったのですが、主担当は1人ではなく、3人ほどのチームで電装系の立ち上げを行いました。それぞれ担当の基板を決めて、評価は全部一緒にやっていく形です。ただ、機種立ち上げから量産までの予定が通常では考えられないぐらい短いスケジュールだったので、異常に早いスピードで立ち上げるものを最初から担当するのは不安ではありましたね。

幸い先輩方が一緒に担当してくれたので、全責任が一気に来るほどの負荷はなくて。主担当を頑張ろう!というモチベーションに加え、何かあっても相談できる環境があったので、それほどプレッシャーはありませんでした。

──ちなみに若手の場合、事務作業などいわゆる下っ端の仕事が多くなるケースも世間的にはあるとは思うのですが、実際いかがでしょう?

今も若手には入るのですが、入社1,2年目の頃はむしろ先輩方が事務作業などをやってくださっていて、面白い実験のところをメインでやらせてもらっていました(笑)。最初はそうとは知らずに実験をしていて、2年目から資料作成などもやっていくようになった感じです。

やる気を削がれるようなことを言われたことがなくて。その点に関して、みなさん本当に尊敬できるなと思っています。だからこそ自分も他の人にそうしようと思えるので、後輩ができてきたら仕事が面白いと思ってもらえるようにサポートしたいと思います。

──入社した頃と今とで、会社が変わったと思うことはありますか。

動画を撮影した時はまだ新型コロナウイルスの流行前だったので、働き方は変わりましたね。以前は週5日出社が基本でしたが、定期的にリモートワークを取り入れるようになりました。そういう意味では、働き方が選択しやすくなったと思います。

私の場合、出社した時は主に実験をしています。実験は持ち帰るわけにいかないですし、対面でのやり取りの方が理解度も深まります。特にちょっとした相談ごとは出社して直接話す方が良かったりもするので、その点はうまく使い分けられていると思います。今は週3日出社、週2日リモートワークをすることが多くて、実験が忙しいときは出社を多めにするなど、その時の状況に応じて調整していますね。

細部が気になる「オタク気質」が仕事に活きる!?

──場所によって業務を切り替えることもできますし、仕事とプライベートとの両立もしやすくなりますよね。仕事が終わったあとはどう過ごすことが多いですか?

基本的には仕事が終わるとアニメを見ながら夕食を作って、食べ終わったらアニメをつけたまま今度はゲームをして……という感じです(笑)。家事をするときも、アニメを見ながらが多いですね。小さい頃から2歳上の兄がゲームをしているのを隣で見ていた影響もあって、ゲームや漫画、アニメに親しみがありました。オンラインゲームはMMORPG*というジャンルにあたるものが好きで、今はファイナルファンタジーXIVをやっています。

*Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略。
数百名以上、数千人規模の人数でオンライン上のRPGゲームが遊べるゲーム作品のこと

あとは楽器演奏も好きです。小さな頃はピアノ、中学では吹奏楽部に入っていて、高校から大学時代は友達と組んだバンドでドラムを叩いていました。社会人になってからも高校の同級生とバンドを組んでいて、今はキーボードを担当しています。

学生時代はバンドでドラムを担当(稲村さん提供)

──ちなみに関係者からの情報で、拷問器具がお好きと伺ったのですが……?

サディスティックに捉えられたくはないので前面に出してはいないんですけれど(笑)、漫画『シャーマンキング』に出てくるアイアンメイデンという拷問器具があって。キャラが好きだったのもあるのですが、その器具の描写が、イラストで見た感じでは血まみれになりそうにないように見えたので、どうしてこれで拷問ができるのかなと思ったんです。

気になって調べてみると、拷問器具なので殺してはいけなくて、あえて急所を外すような設計になっていると知りました。苦痛を与えつつ、致命傷を与えてはいけないというギリギリのところを設計するというエンジニア的な思想があるんだなと。難しいところを攻めるのが面白いなと感じました。

──サブカルが好き、趣味が生活の中心にあるという点では、稲村さんは「オタク気質」とも言えそうですね。そういった目線は仕事にも活きるのでしょうか?

オタク目線とは少し違うかもしれませんが、たくさんのゲーム機を持っていたので、仕事で新しい装置を使う時もなんとなくボタンの配置などで操作方法がわかって、すんなり使えるようになる気がしています。測定装置の操作も他の人より操作が早いと言われることがあるので、ゲーム機などを通して色々な機械に触れてきたからというのも一因かもしれません(笑)。
あとは実験で細かいところを掘り下げて気になる箇所に目が行くという点では、もともとのオタク気質が活きている部分もあると思います。

色々なアニメを見るように、仕事も色々経験したい

──最近の若い世代は、働き方や仕事に対する考えが変わってきているという意見もあると思うのですが、稲村さんは若手エンジニアとして「大企業で働く」ということをご自身の中でどう捉えられていますか。

もちろん会社によるとは思うのですが、私も就活のときは世間でよくいわれるような「大企業に行くと会社の歯車になってしまい、自由に仕事ができない」というネガティブなイメージも気になってはいました。ただ、先のことを考えると、大企業から中小企業に転職はできるかもしれないけれど、その逆は難しい可能性もあるなと思ったんです。それもあって、まずはいわゆる大企業と呼ばれるような会社に入ろうと思いました。

実際に働いてみての印象として、“歯車感”はないですね。開発担当は開発しかやらないという会社もあると思うのですが、設計開発はもちろん、生産など他のグループと打ち合わせをしたり、電子部品の調達について業者さんとやり取りをしたり、品質保証部門と協力して実験対応をするなど、さまざまな機会があります。

中には開発だけに専念できないという見方もあるとは思うのですが、私はアニメでも色々なものを見るのが好きなので、仕事も「一生同じことをやる」というより、色々なことをやりたいと思っています。まだ部署異動も転職も経験していませんが、やっていることは1年目から4年目まで少しずつ違っていて、1年目にやったことを繰り返しているという印象はないですね。

これからの時代、必要なのは「軸を持った柔軟性」

──最後に、これからの企業人にとって必要なものはなんだと思いますか。

キーワードとしては「柔軟性」が重要だと思います。コロナ禍で働き方を変えざるを得ない状況になった際、特にそう感じました。自分が予想しない事態になっても臨機応変に対応できるかどうかは、企業人として試されるところではないでしょうか。

私は「自分が納得できるまで突き詰める」という点を大事にしています。何でも「わかりました、やります」となぁなぁで進めてしまうのは違うなと思っていて。自分が納得した上で仕事を進めていれば、もし失敗したとしても責任を取ることに納得できると思うんですよ。それをせずに進めていくと、人のせいにしたくなることが出てくるんじゃないかと思っていて。
だから、自分が納得できるところまで噛み砕いた上で仕事を進めていくようにしています。その上で相手の意見を取り入れたり、自分の意見を主張したり、柔軟に対応していきたいですね。

たとえばコロナ以外でも、自分が所属している部署が突然なくなる、担当する製品が変わるといったことはこの先起こる可能性はありますよね。柔軟な思考を持っていれば、環境が変わったり、担当業務が変わったりしたとしても対応していけるはずです。ただ闇雲にどこにでも行けるようにという訳ではなくて、自分が何を大事にするかという軸を持って、その上で柔軟に変化に対応する力が必要だと思います。

─インタビューを終えて─
今回撮影を行ったのは、コニカミノルタ東京サイト日野。撮影中も「配属が決まったとき、日野ってどこかな?と思いました」と言って場を和ませてくれたり、顔を合わせた同期と会話したりと、物腰が柔らかい自然なコミュニケーションが印象的でした。
先の見えない不確実な時代といわれていても、稲村さんのように自分の好きなことの軸をもっていれば、その変化さえ楽しめるかもしれません。皆さんも自分が軸にしたいものは何か、今一度自分と向き合って探してみてはいかがでしょうか。

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